「草原における環境保全型節水灌漑モデル事業」プロジェクトでは、内モンゴル自治区杭錦旗と新疆ウイグル自治区木塁県にモデル地区を設けて実証を行っています。今回は、新疆ウイグル自治区木塁県に設置したモデル地区の実施管理者である賈鴻飛木塁県水利局総工程師にお話を伺いました。
Q:プロジェクトは、木塁県水利局や牧民にどのような効果をもたらしましたか。また、プロジェクトの問題点、さらには今後のプロジェクトに対する期待や希望などを教えてください。
A:
プロジェクト実施前は、モデル地区の牧民が人工草地での栽培方法を知らない状態で、国の天然草地の保護、禁牧・休牧等の政策が実施されていました。このため、牧民が放牧できる天然草地の面積はしだいに縮小し、牧民の生活に影響を及ぼすとともに、収入も減少しました。
天然草地の生態を保護するため、国家は大きなプロジェクトを実施していますが、そのプロジェクトを引き続き実施して、天然草地の保護や牧民の生活レベルの向上を実現するためには、人工草地建設を発展させることが必要不可欠です。木塁県でも天然草地への放牧圧力の軽減、天然草地・生態環境を保護するため、人工草地の建設を強力に行うことを提起してきました。
今回のプロジェクトの実施によって、牧民が人工草地の栽培方法を習得することができました。そして、人工草地の生産量と貯蔵量が増えて、天然草地への放牧圧力を軽減することができ、天然草地を保護することができました。プロジェクト実施後、モデル地区の牧民自らが飼草料を栽培する重要性を認識したと同時に、飼草料を栽培するメリットを理解しました。
我々が別に担当している半農半牧の5000ムーの牧区では、このプロジェクトが採用している低圧スプリンクラー灌漑の効果を見て、同じアルミ合金パイプの低圧スプリンクラー灌漑を取り入れました。但し、全面積に導入するには高価のため、一つのパイプで多くの面積を灌漑できる移動式灌漑方法を採用しています。
このプロジェクト実施により、飼草料の貯蔵量が増えたため、家畜の放牧時間を短縮することができました。特に冬場は、貯蔵した飼草料だけで家畜の空腹を十分満たせるので、冬放牧の必要がなくなり、家畜の質も向上しました。プロジェクト実施前には、家畜を冬放牧していましたが、草原の飼草料に限りがあるため、家畜の空腹を満たすことができず、家畜はいつも空腹状態にあり、また冬季の寒さが加わって、家畜の質が非常に悪かったのです。そして、冬場の草原では飼草料に限りがあるため、家畜は草の茎をかじることで空腹を満たしていましたので、天然草地の破壊が非常に大きくなっていました。
その他、プロジェクト実施を通じ、牧民はこの低圧スプリンクラー灌漑方式を受け入れ、大変支持しています。牧民の節水意識が明らかに向上したと同時に、用水効率も大幅に向上しました。モデル地区の建設が成功したことで、アルファルファの生産量も大幅に増加し、牧民の生活レベルと質が向上して、非常に喜んでいます。そして、牧民はこのプロジェクトを継続し、徐々に範囲を拡大することを決めています。
Q:牧民にとって問題や困難はありますか。
A:
唯一の問題は資金調達だと思います。この問題に対し、県政府は政策として高効率節水灌漑事業に適切な投入を行うこととしており、政府と牧民が共に負担する共同発展事業を行っています。資金調達の問題は以前より相当良くなりましたが、今だ一定の問題はあるということです。
Q:プロジェクト終了後は、どのように考えていますか。
A:
我々は、引き続き節水灌漑プロジェクトを進めます。理由は、このプロジェクトの成果を受け、面積5000ムーのスプリンクラー灌漑プロジェクトを立ち上げているからです。また、このプロジェクトのモデル地区周辺では、牧民が自ら導入したスプリンクラー灌漑の圃場があり、さらにスプリンクラー灌漑の新しい圃場も既に準備でき、来年には灌漑を行う予定です。このプロジェクトは本当に良く、多くの牧民は喜んでいます。水利局の職員もプロジェクト実施に伴い、沢山の知識を得ることができました。このプロジェクトは、我々にとって成果は非常に大きいです。
|